流体

流体の巨視的パターン(秩序)形成

安定性(stability)

  • 安定なつりあい
    ∪型の頂点にある球体の状態(ずらしても頂点に落ち着く)。
  • 中立のつりあい
    ―型(平面)の上にある球体の状態(ずらしても、そこで静止したまま)。
  • 不安定なつりあい
    ∩型の頂点にある球体の状態(ずらすと頂点から離れていく)。

雲の動き

雲の列は静的な構造ではなく、空気の動きを伴っている。1本の筋にそって上昇気流、他の筋に沿って下降気流があり、空気はロール上に運動している(下から地球の熱に過熱され、上層部では冷却される)。

ベナール対流

1)温度T1とT2の差が小

  • 液体は動かない。しかし熱の伝導は起きている。
  • (分子の微視的熱運動) + (分子間衝突) = 熱拡散
  • 流体はひとつの安定な状態を維持

2)温度T1とT2の差が大

  • 今まで安定であった(熱伝導)状態が不安定になり、新たに安定な状態が実現する。
  • 液体の巨視的対流の発生
  • 完全に秩序立ったロール状運動

アルキメデスの浮力

T1とT2の温度差が大きくなると、液体中に重力に逆らって下から上へと向かう密度勾配を引き起こす。

下方にある液体の微小体積要素が摂動によってわずかに上方へ移動すると、より冷たい、より密度の大きい領域に来るので、上向きのアルキメデスの浮力を受け、初めの上昇運動はそれによって更に増幅される。一方、もし最初に上方にあった微小な液体が下方へ移されると、密度のより小さい環境内に入り、アルキメデスの浮力がなくなり、下降運動を更に増大させる。

→上昇、および下降の流れが発生。

ベナール対流におけるロールの幅は、分子の幅の10億倍もある。このようなロールが形成されるためには、かなりはなれた分子同士が協力して動くように何らかの方法で連絡し合う必要がある(協同現象)。

規則的な運動をした方が、加熱された液体が能率よく上へ運ばれ、熱エネルギーの散逸にとって効率の良い構造になっている。

→自己組織化(self-orgnization)

ロールが右回りになるか左回りになるかは、最初の小さなゆらぎによる偶然性によりもたらされるが、この小さなゆらぎが、結果として液体全体の運動を決定することになる。

あるひとつの選択をすると、他の可能性は閉め出され(排他)、もはや後戻りできない状態になる(不可逆性)。小さなゆらぎ(fluctuations)が1つの選択肢を選び、1つが選ばれると好む好まざるにかかわらず、全体がそれに従う(対称性の破れ)。

T = T2 - T1

このTがわずかにTC(臨界温度差)を超えるや否やベナール細胞(対流パターン)が必ず現れる。従って、この現象は厳密な決定論に従っている。

これに対して、細胞の回転方向(右回りと左回りが組み合わされる2種類の対流パターン)は予測不可能で制御不可能である。ある細胞が右回りになるか左回りになるかを決めるのは、実験のときに生じていた特定の摂動という形の偶然だけである。

  • 関連 - 地球上生命体におけるL型とD型のアミノ酸

こうして、偶然性(確率論)と必然性(決定論)との協同へ到達する。

散逸構造(dissipative structure: I.Prigogine)

液体自体に形は無いが、その液体の中を熱が散逸していく過程で、エネルギーの散逸を助けるように規則的なパターン(構造)ができる。

このパターンは液体の運動によって作られる動的パターンなので、液体を入れる容器の形を変えると、パターンの形全体が変わる。このようなことが起きるのは、いつも容器の中で様々な形をつくろうとする働きが共存していて、そのうちで様々な条件を最も上手く満たすものが現れてくる。

  • 関連 - ライフゲーム

この秩序ある構造の形成は、外から形をつけられたものではなく、システム自身がエネルギーの散逸をさせるときにつくり出す構造で、システムが自己組織化した構造である。

ウェゲナー(G.A.Wegener;1880-1930)の大陸移動説

地球の内部は熱く、岩石はマグマと呼ばれる粘質のある液体状態にある。地球の中心部と地殻の間の層に、下側から加熱され上側が一定の温度に保たれた液体(マグマ)があり、その中でロール状の熱対流が発生している。この運動が地殻の上にある大陸を引きずって動くことになる。


自然科学・哲学系メモ


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Last-modified: 2010-05-15 (土) 12:08:23 (2746d)