物理科学への変遷

中世の自然観思想は、徐々に物理的な(即ち実用的な)思想へと変遷する。

知識の変遷(列挙)

温度計と熱学の発祥により、質としての熱の数量化に考え至る。

温度計の発明と発達

  • ガリレイの空気温度計(1603)
  • 目盛りの標準化
    • ケーニヒスベルクの温度計
    • ファーレンハイトの温目盛
      • 水銀温度計の制作(1714)
      • 温度目盛の提案(1724)
  • セルシウスの温度目盛(1742)
    • 0度 : 水の氷点
    • 100度 : 水の沸点

ブラックの熱学

熱 - 燃焼 → 酸素との混合
   - 熱の発生 → 熱素の放出

ラボアジエの熱素説によると、熱が発生するのは、熱素という熱の根源があり、 それが放出されるからである、とされていた。

蒸気機関

技術の科学化(それまでは錬金術などの分野)が進み、蒸気機関が発明され、 その技術や知識が発達する。石炭産業が本格化し、地下水のくみ上げに蒸気機関が使用されるようになる。当時、セーヴァリの揚水機が利用されていた。後、ニューコメンの大気圧機関が発明され、それが改良されてワットの蒸気機関が開発された。これは分離凝縮機と密閉式シリンダーを使用した画期的な機関だった(1784)。その後、高圧蒸気機関が発達する(1800)。

カルノーの蒸気機関の原理

「火の動力についての考察」(1824)では、熱素説に基づく理論が説かれている。

水 - 高所
      ↓   ⇒ 動力
     低所

同様に、

熱素 - 高温
        ↓  ⇒ 動力
       低温

カルノーの原理の意義は、熱を動力(仕事)に変換できる、と考えたところにある。

  • 熱の量と発生する動力(仕事)
  • 動力(仕事) → 熱 という逆転換の問題

熱と動力(仕事)と発生する量的法則は「エネルギー保存則」と呼ばれ、これは熱力学の基本法則のひとつになる。

熱力学第1法則 :
熱と動力(仕事)の量的等価性
  • マイヤーの形而上学的考察(1842)
  • ジュールの実験的検証(1843-50)
  • ヘルムホルツの力学的理論(1847)

マイヤーの「無生物界の力についての覚書」には、力は原因である(力 = 原因)、原因は結果に等しい(原因 = 結果)という、力学的な等価性が説かれている。

ジュールの実験

仕事   →   電気   →   熱  (1843)
    (発電)

仕事   →    熱

ランフォードの熱の運動論

熱は物質が運動するために発生する、とした。

U = Q + W (U : 内部エネルギーの増加, Q : 熱量, W : 仕事)

これは、熱力学第1法則となる。

クラウジウスの熱理論

熱の運動説に基づいてカルノーの理論を次のように再解釈する。

熱 = 運動 → 動力
熱が消滅して動力が発生

また、熱と動力(仕事)は互いに交換可能とした。

動力(仕事)が消費されると熱が発生する。その仕事量は大きい状態から小さい状態へ遷移するが、その際に失われた(消費された)仕事量と同じだけのエネルギーの熱量が放出されると考える。このとき「エントロピー」が増大する、という。

熱力学第2法則(エントロピー増大の法則) : 
動力(仕事)を別種のエネルギーへ変化させると等量の熱が発生する

宇宙全体としては、常に物理的な仕事をしている状態にある、とするなら、その際のエネルギー変換によって熱が発生している、と考えることができる。このまま考えるなら、将来的に宇宙は熱エネルギーのみの世界となると予想されるが、これを「宇宙の熱的死」と呼ぶ。宇宙全体は熱的死に向かう、という方向性が見え始める。


科学的宇宙論


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Last-modified: 2010-05-15 (土) 12:08:22 (2746d)