* エントロピー [#d7d179ad] ** 混沌の増大と宇宙の熱的死 [#x2d078c7] *** 自然の一方向性 [#n0fe4dda] 物事は常に混沌が増す方向へ変化する(不可逆過程)。&br; (ボルツマン - L.Boltzmann;1844-1906) が、力学は可逆過程と前提としている。 *** 混沌とは何か [#b6008414] 日常的にいうならば“乱雑さ”。 ものの移動する先の可能性が多いほど乱雑になる。ただひとつの可能性しかないとするなら、それは整理された秩序ある状態が実現している、と考える。 物理学的にいうならば“無秩序さ”(randomness, disorder)。 混沌の程度を表すものは、異なった可能性の数である。 *** エントロピー [#a9cfb51c] S = k logW (ランダムネスの尺度) k : ボルツマン定数 W : 可能な状態の数(無秩序さの程度を表す量) ボルツマンの原理&br; 自然は最も多数の可能性を持つ状態へと向かって変化する。 ex)&br; - 熱力学的平衡状態 - いたるところ同じ温度 - 生物が生きられない死の世界 (上から下へ) *** 閉じた系(closed system)と開いた系(open system) [#ob43cc4f] もし、常に混沌が増大する(エントロピーが増大する)とするなら、なぜ秩序ある構造(特に生命)などが実現するのか(その余地があるのか)。 解)&br; 熱力学第二法則(即ち、エントロピー増大の法則)が成立するのは、閉じた系に対して、である。例えば、宇宙初期におけるビッグバン(宇宙の膨張)は、“宇宙”という閉じた系(その外部との相互作用が無い系)において起こった現象である。 生物は、負のエントロピー(シュレディンガーのネゲエントロピー)を消費して(食べて)(正の)エントロピーの増加を抑え、秩序を形成し、それを維持している、と考える。 生命体を含む全宇宙は閉じた系であり、全体のエントロピーは増大しているが、宇宙の一部(開いた系)のエントロピーは減少可能である。 (閉じた系全体エントロピー) = (エントロピーの減少量) + (エントロピーの増加量) (エントロピーの増加量) > (エントロピーの減少量) (閉じた)系全体としてエントロピーが増大していれば、その内部(一部)でエントロピーが減少することは許される。 [[科学的宇宙論]]