征地球論

異星人が地球を征服するかどうか議論をしている。 様々な意見があり、地球を征服することに対する意義、また地球の価値などが議論の対象となっている。 そんなやりとりを通して、地球、特に地球人という存在を客観的に捉えた作品。

考察

印象深いのは、「地球人は矛盾に満ちた生物である。ほっとけば遠からず自滅するに違いない」というセリフである。この言葉によって、地球征服の問題から、一体地球人とはどういう生き物なのかという議論に絞られている。

たばこを吸う少年を見て、その有害性を知りながらあえて喫煙するという行為には、地球人には自己破壊の本能があると主張する議員がいて、それは例外的であるとする議員とが対立するが、実際、地球人は”たばこ”からも象徴されるように、自滅の一途をたどっているように見受けられる。「楽して儲かる社会」を地球人が目指している、とし、その上で欲望が常にそれを上回って肥大するため、地球人の不満はつのるばかり、地球人は永久に満足しないのではないか、という辺りは鋭いと感じる。この辺は心理学的にも指摘される点である。人類は常に上を見て進歩してきたのであり、欲求を解消すれば新たな欲求が生まれ、その繰り返しで今日の社会がある。この上昇志向が人類の良いところでもあり、また問題点でもあるのだろう。

人間の矛盾点、またそれが社会に及ぼす影響など、この作品の含む要素は多い。後ほど、さらに突っ込んだ考察をしてみたい。


収録

2001年1月現在

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