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* 一般相対論的宇宙モデル [#cfea83ec]
** 時空の 3+1 分解 [#ie47c948]
一般相対論の4次元時空は、適当に導入された時間座標一定の面にスライスされた3次元空間 &mimetex( \sum_{}(t) ); の時系列として捉える。これを、時空の 3+1分解 (正準形式, ADM形式)と呼ぶ。
&mimetex( \sum{}(t) ); 上の計量が
&mimetex( d\sigma^2=h_{ij}dx^i ); ( &mimetex( i,j=1,2,3 ); ) ・・・(1)
のとき、4次元時空線素は
&mimetex( ds^2=-N^2dt^2+h_{ij}(dx^i+N^idt)(dx^i+N^idt) ); ・・・(2)
と表せる。4次元計量テンソル10個のうち4つは座標によるパラメトリー化の自由度であり、力学的変数は6個になる。(2)は &mimetex(h_{ij});が6個になるように表現したものである。
時空ダイナミクスを与えるアインシュタイン−ヒルベルト(Einstein-Hilbert)の作用積分は、表面積を除いて
&mimetex( S_G=\frac{1}{{16}{\pi}{G}}\int{N}\sqrt{h}\left[{K^{ij}K_{ij}-K^2+^{(3)}R}\right]d^4x ); ・・・(3)
と表せる。ここで
&mimetex( K_{ij}=\nabla_iN_j-\nabla_jN_i-\dot h_ij ); ・・・(4)
は''外部曲率''と呼ばれ、&mimetex( \sum{}(t) ); の埋め込みの仕方を与える。
また、&mimetex( ^{(3)}R );は&mimetex( \sum{}(t) );内でのスカラ曲率である。例えば、円柱面では&mimetex( ^{(2)}R=0 );, &mimetex( K_{\phi \phi}=\frac{1}{a^2} );となり、固有曲率 &mimetex( ^{(2)}R ); はゼロだが、3次元空間への埋め込み方に曲率がある(&mimetex( K_{\phi \phi}\neq 0 ); )ことを意味する。それに対して、球面では&mimetex( ^{(2)}R=\frac{1}{a^2} );となり、固有曲率もゼロではない。
(3)のラグランジアンはラプス(lapse)&mimetex(N);と&mimetex(N^i);の時間微分を含まないので、これら4つの関数はダイナミクスの変数ではないことを意味する。&mimetex(N);と&mimetex(N^i);は座標系の選択に応じて決まるゲージ関数ということになる。
** ロバートソン−ウォーカー計量(Robertson-Walker metrics) [#g2656c49]
宇宙モデルは、一様、等方3次元空間であり、その計量は定曲率空間として次のように表現される。
&mimetex( d\sigma^2=a^2\left[{\frac{dx^2+dy^2+dz^2}{1+\frac{k}{4}r_1^2}}\right] ); ・・・(5)&br;
&mimetex( =a^2\left[{\frac{dr^2}{1-kr^2}+r^2(d\theta^2+\sin^2\theta d\phi^2)}\right] ); ・・・(6)
ここで &mimetex( r_1^2=(x^2+y^2+z^2) );, &mimetex( r=\frac{r_1}{1+\frac{kr_1^2}{4}} );。&mimetex(k);は曲率の符号を表し、&mimetex(k=1,0,-1);をとる。&mimetex(k=1);の場合&mimetex(r=\sin x);, &mimetex(k=-1);の場合&mimetex(r=\sin hx);として、動径座標&mimetex(x);を導入すると(6)は
&mimetex( d\sigma^2=a^2\left[{dx^2+f^2(x)(d\theta^2+\sin^2\theta\phi^2)}\right] ); ・・・(7)
と書ける。
&mimetex(k=1);で&mimetex(f(x)=\sin x);, &mimetex(k=0);で&mimetex(f(x)=x);, &mimetex(k=-1);で&mimetex(f(x)=\sin hx);となる。
&mimetex(h_{hj}=a^2\gamma_{ij});と書けば、定曲率空間の曲率は
&mimetex( ^{(3)}R_{ijkl}=\frac{k}{a^2}(\gamma_{jl}\gamma_{ik}-\gamma_{jk}\gamma_{il}) ); ・・・(8)
であり、スカラテンソルは &mimetex( ^{(3)}R=\frac{6k}{a^2} ); である。
&mimetex(N);を&mimetex(x^i);に依存しないようにとれば、&mimetex( \sum{}(t) ); 上の各点での固有時が同一になるので、そのような &mimetex(t); を''宇宙時''と呼ぶ。また、測地線方程式で &mimetex( \dot{x_i}=0 );なら&mimetex( \ddot{x_i}=0 );となるためには&mimetex( N_i=0); を取れば良い。&mimetex( N_i=0 );ととれば、&mimetex( x_i =);一定の世界線がテスト粒子の軌跡となり、このような座標系は物質に付随しているので''共動座標''と呼ぶ。世界時と共動座標を用いて(2)は次のように書ける。
&mimetex( ds^2=-N^2(t)dt^2+a^2(t)(\gamma_{ij}(x)dx^idx^j) ); ・・・(9)
&mimetex( \gamma_{ij} );に(5)(6)(7)などと表せる定曲率空間の計量をとり、&mimetex( N(t)=1 );にとった計量(9)を''ロバートソン−ウォーカー計量(Robertson-Walker metrics)''(R-W 計量)という。この計量は対称性と座標系の取り方によって決まるもので、一般相対論のダイナミクスは一切使われていない。
座標(7)でのR-W計量を用いて、動径方向 &mimetex(d\theta=d\phi=0); での光線の伝播は
&mimetex( ds^2=-dt^2+a^2(t)dx^2=0 ); ・・・(10)
で表せる。動径座標が&mimetex(x);だけ離れた光源と観測者の間に&mimetex(t);に発射した光が&mimetex(t_0);に受信され、&mimetex(t+\delta t_0);に受信されるとすれば、(10)より
&mimetex( \pm x=\int_t^{t_0}\frac{dt}{a(t)}=\int_{t+\delta t}^{t_0+\delta t_0}\frac{dt}{a(t)} ); ・・・(11)
ゆえに、&mimetex(\delta t\ll t);ならば
&mimetex( \frac{\delta t}{a(t)}=\frac{\delta t_0}{a(t_0)} ); ・・・(12)
と書ける。
** 空間ダイナミクスの運動方程式 [#g32a262c]
R-W計量に対して作用積分(3)を書き下せば &mimetex( K_{ij}=-\dot{h}_{ij}=-2a\dot{a}\gamma_{ij} );を用いて
&mimetex(S_{G}=\frac{1}{{16}{G}}\int Na^3\left[{3\frac{1}{a^4}(\frac{a\dot{a}}{N})^2+(\frac{3}{a^2}\frac{\dot{a}a}{N})^2+\frac{6k}{a^2}}\right]d^4x);&br;
&mimetex(=\frac{3{V}}{8{\pi}{G}}\int(kNa-\frac{1}{N}\dot{a}^2a)dt ); ・・・(13)
ここで&mimetex(V);は空間座標について積分した体積。
物質として共動座標に静止した媒質を考えたとき
&mimetex(S_m=-V\int a^3\rho dt); ・・・(14)
全ラグランジアンは
&mimetex(L=\frac{3}{8{\pi}{G}}\left[{kNa-\frac{1}{N}\dot{a}a}\right]-\rho Na^3); ・・・(15)
運動方程式は オイラー−ラグランジュ(Euler-Lagrange)(E-L)方程式
&mimetex( \frac{d}{dt}(\frac{\partial L}{\partial \dot{q}_i})-\frac{\partial L}{\partial q_i}=0 ); ・・・(16)
より導かれる。&mimetex( q_1=N );に対しては
&mimetex( \frac{3}{8{\pi}{G}}\left[{ka+\frac{1}{N^2}\dot{a}^2a}\right]-\rho a^3=0 ); ・・・(17)
というハミルトン(Hamilton)の拘束条件が得られる。ここで &mimetex( N(t)dt\rightarrow dt ); なる新しい時間座標をとれば、
&mimetex( (\frac{\dot{a}}{a})^2+\frac{k}{a^2}=\frac{8\pi}{3}G\rho ); ・・・(a)
この&mimetex(N(t));をとって、&mimetex(q_2=a);として(16)を用いると
&mimetex( -\frac{3}{8{\pi}{G}}(2\ddot{a}a+\dot{a}^2+k)+3\rho a^2+\frac{d\rho}{da}a^3=0 ); ・・・(18)
となる。ここで&mimetex(\frac{d\rho}{da});の項は熱力学第1法則を断熱過程に用いた式&mimetex(d(\rho a^3)+Pd(a^3)=0); より
&mimetex(\frac{d\rho}{da}+\frac{3(\rho+P)}{a}=0); ・・・(19)
であり、これを(18)に代入すると
&mimetex(2\frac{\ddot{a}}{a}+(\frac{\dot{a}}{a})^2+\frac{k}{a^2}=-8{\pi}{G}{P}); ・・・(b)
となる。
(b)に(a)を適用すると
&mimetex(\frac{\dot{a}}{a}=-\frac{4{\pi}{G}}{3}(\rho+3P)); ・・・(c)
(a)の右辺を''エネルギー項''と呼び、左辺第2項を''曲率項''と呼ぶ。&mimetex(\rho+3P>0);なら原則膨張となる。
物質の典型例として「ダスト」(&mimetex(P_d=0);), 「放射」(&mimetex(P_r=\frac{\rho_r}{3});), 「真空」(&mimetex(P_v=-\rho_v);)を扱い、(19)より、各々
&mimetex(\rho_d\propto a^{-3});, &mimetex(\rho_r\propto a^{-4});, &mimetex(\rho_v=);一定 ・・・(20)
** スカラ場 [#pc9777dc]
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