(音楽のシロウトが)DTMするのに知っておいた方が良いだろう音楽理論の基礎。
ただ、あんまり理論を意識すると、趣味で作曲なんてやってられなくなるので、自分のつくった曲がなんか変だというときに思い出す程度で。数学とか物理などと違って、音楽に「こうでなくてはならない」というものはない。ただ、「こうあるべき」とか「こうしたら良いと思うよ」というのはあって、それが音楽理論って程度で理解しておくこと。
いわゆるドレミ…というやつ。実は、ドレミというのはイタリア語。DTMをする上で(ていうか、音楽する上で)覚えておくべきは、英語、イタリア語、日本語の3つだけで良いかと。
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | |
イタリア語 | ド | レ | ミ | ファ | ソ | ラ | シ |
英語 | C | D | E | F | G | A | B |
日本語 | ハ | 二 | ホ | ヘ | ト | イ | ロ |
ただ、これは実は音階の全てではない。ド、レ、ファ、ソ、ラの次には、それぞれ半音高いド#、レ#、ファ#、ソ#、ラ# というのがいる。ピアノ鍵盤でいえば黒いやつ。"#"(シャープ) という記号は「それより半音高い」という記号。「それより半音低い」というのを表す "♭"(フラット)というのもあるので、レ♭、ミ♭、ソ♭、ラ♭、シ♭とも書ける。どちらも同じ意味。
つまり、こう。
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 12 | |
イタリア語(#) | ド | ド# | レ | レ# | ミ | ファ | ファ# | ソ | ソ# | ラ | ラ# | シ |
イタリア語(♭) | ド | レ♭ | レ | ミ♭ | ミ | ファ | ソ♭ | ソ | ラ♭ | ラ | シ♭ | シ |
英語 | C | C# | D | D# | E | F | F# | G | G# | A | A# | B |
(日本語はあんまり使わないので省略)
DTMに限っていえば、"♭" はあまり使わないので、以下は "#" の表現で統一する。
音楽表現をややこしくしてる元凶のひとつ。ピアノ鍵盤でいえば、白鍵盤と黒鍵盤を全部平等にみなせば、半音毎に隣り合って並んでいる。
ひらたくすると、こういうこと。↓
隣同士が半音。2つ隣に行くと全音。例えば、ドとレの音程差は全音、ミとファの音程差は半音。(最初からこういう並びで12音平等に見ればいいのに、と思うのだけど、そこはいろいろ(歴史とか)あるらしく。。)
どの音で始まるパターンということ。例えば、Cの音で始まる音は「Cの調」という。
この“パターン”というのは、音と音の隣同士が、全音 → 全音 → 半音 → 全音 → 全音 → 全音 → 半音 という並びになっているパターン。例えば、「ド」で始まる場合は、ド、レ、ミ、ファ、ソ、ラ、シ、ド(半音を含まない)。
このパターンを各音階について全部書き出すと、次のようになる。
1度 | 2度 | 3度 | 4度 | 5度 | 6度 | 7度 | 8度 | ... | |
ド(C) | ド(C) | レ(D) | ミ(E) | ファ(F) | ソ(G) | ラ(A) | シ(B) | ド(C) | |
ド#(C#) | ド#(C#) | レ#(D#) | ファ(F) | ファ#(F#) | ソ#(G#) | ラ#(A#) | シ(B) | ド#(C#) | |
レ(D) | レ(D) | ミ(E) | ファ#(F#) | ソ(G) | ラ(A) | シ(B) | ド#(C#) | レ(D) | |
レ#(D#) | レ(D) | ミ(E) | ファ(F) | ソ#(G#) | ラ#(A#) | シ(B) | ド(C) | レ#(D#) | |
ミ(E) | ミ(E) | ファ#(F#) | ソ#(G#) | ラ(A) | シ(B) | ド#(C#) | レ#(D#) | ミ(E) | |
ファ(F) | ファ(F) | ソ(G) | ラ#(A#) | シ(B) | ド(C) | レ(D) | ミ(E) | ファ(F) | |
ファ#(F#) | ファ#(F#) | ソ#(G#) | ラ#(A#) | シ(B) | ド#(C#) | レ#(D#) | ミ(E) | ファ#(F#) | |
ソ(G) | ソ(G) | ラ(A) | シ(B) | ド(C) | レ(D) | ミ(E) | ファ#(F#) | ソ(G) | |
ソ#(G#) | ソ#(G#) | ラ#(A#) | シ(B) | ド#(C#) | レ#(D#) | ミ(E) | ファ(F) | ソ#(G#) | |
ラ(A) | ラ(A) | シ(B) | ド#(C#) | レ(D) | ミ(E) | ファ#(F#) | ソ#(G#) | ラ(A) | |
ラ#(A#) | ラ#(A#) | シ(B) | ド(C) | レ#(D#) | ミ(E) | ファ(F) | ソ(G) | ラ#(A#) | |
シ(B) | シ(B) | ド#(C#) | レ#(D#) | ミ(E) | ファ#(F#) | ソ#(G#) | ラ#(A#) | シ(B) |
この表のそれぞれの音階は、開始(主音)を1として、以降番号を振って 1度、2度、3度... などと呼ぶ(これを「音度」という。「音頭」ではない)。 これらは、半音ずつずれて、全く同じメロディになる。
基本の音との音程差のこと。1度、2度... というのもインターバル(音程差)だが、1スケールを12分割して、それぞれ以下のように細分化される。(上の鍵盤と比較しながらみると理解しやすい?)
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 12 | (13) |
完全1度 (ユニゾン) | 短2度 | 長2度 | 短3度 | 長3度 | 完全4度 | 増4度 (減5度) | 完全5度 | 短6度 | 長6度 | 短7度 | 長7度 | 完全8度 (オクターブ) |
完全1度は自分自身。完全8度は1オクターブ高い音となる。「完全」と付いてるのは基音と完全に協和音になる音ということらしい。
とにかく明るい音を長調、暗い音を短調という。何そのアバウトな表現。
その曲をどの音から開始するかで曲の感じが変わってくるらしい。元となる音(主音)から始まって前の音からどれだけの音程差があるか(半音なら1、全音なら2)を書いてみる。
音度(主音からの差) | 2度 | 3度 | 4度 | 5度 | 6度 | 7度 | (8度) |
メジャースケール(長音階) | 2 | 2 | 1 | 2 | 2 | 2 | 1 |
ナチュラル・マイナースケール(自然短音階) | 2 | 1 | 2 | 2 | 1 | 2 | 2 |
ハーモニック・マイナースケール(和声短音階) | 2 | 1 | 2 | 2 | 1 | 3 | 1 |
メロディック・マイナースケール(旋律的短音階) | 2 | 1 | 2 | 2 | 2 | 2 | 1 |
例えば、C調なら、ド(C)から始めると「C D E F G A B C」というメジャースケールになり、ラ(A)から始めると「A B C D E F G A」というナチュラル・マイナースケールになる、といった具合。で、このメジャースケールなものを長調、マイナースケールなものを短調と呼ぶ。ちなみに、「C」は日本語なら「ハ」なので、Cのメジャースケールで始まる調は「ハ長調」、Cのマイナースケールで始まる調は「ハ短調」という。
メジャーは 2→2→1→2→2→2→1(或いは、全→全→半→全→全→全→半)となっていて、ナチュラル・マイナーは 2→1→2→2→1→2→2(或いは、全→半→全→全→半→全→全)となっている。
注目するポイントは3度のところで、マイナーはメジャーの3度の音を半音下げたものになっている。
ちなみに、ハーモニック・マイナーはナチュラル・マイナーの7度のところを半音上げていて、メロディック・マイナーはハーモニック・マイナーの6度を半音上げている。ああ、もうわからんね。
とりあえず、2212221ならメジャー(長調)、2122122ならマイナー(短調)、と覚えておけばいいんじゃないかな。
コード(Chord)というのは和音のこと。つまり、複数の音階の音を同時に出すこと(電源コードとか文字コードとかのコードではない!)。これには規則があるが、あまりに多い。プロはこれを全部覚えてるとか。(あり得ない!)
コードは、基本となる根音(ルート)の上に2つ以上の音を加えた和音で、表記は「(ルート)+(メジャー/マイナー)+(コード種別)」のように表記する。例えば、Cメジャーセブンスの場合は「Cmaj7」などと書く。
コードの重ね方は以下。和音の数字は、ルートを1として半音ずつ上がった回数(音度ではないので注意)。
コード | 表記 | 和音 | |||||||||||
トライアド | - | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 12 |
セブンス | 7 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 12 |
シックス | 6 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 12 |
ディミニッシュ | dim... | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 12 |
オーグメント | aug... | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 12 |
※ 黄色は共通。オレンジはメジャーの場合。青はマイナーの場合。
具体例を以下に示す。
トライアドの上に7度の音を足す。
Cコードの例を示す。
名称 | 表記 | 和音 | ||||||
Cセブンス | C7 | C | E | G | A# | Cメジャーに7度のBの半音下げたA#を足している | ||
Cメジャーセブンス | Cmaj7(CM7) | C | E | G | B | Cメジャーに7度のBを足している | ||
Cマイナーセブンス | Cm7 | C | D# | G | A# | Cマイナーに7度のBを半音下げたA#を足している |
トライアドの上に6度の音を足す。「アドシックス(add6)」ともいう。
Cコードの例を示す。
名称 | 表記 | 和音 | ||||||
Cシックス | C6 | C | E | G | A | Cメジャーに6度のAを足している |
セブンスの一種だけど、基本コードがただのトライアドじゃない。
Cコードの例を示す。
名称 | 表記 | 和音 | ||||||
Cディミニッシュ | Cdim(Cdim7) | C | D# | F# | A | Cに短3度ずつ4つ足している |
不協和音になるんだけど、これで良いらしい。
トライアドのメジャーの5度の音を半音上げる。
Cコードの例を示す。
名称 | 表記 | 和音 | ||||||
Cディミニッシュ | Caug(C+5) | C | E | G# | Cメジャーの5度の音を半音上げてG#にしている |
セブンスの上にさらに9度以上の音を足す。
ここまでくるともうわからん。テンションは上級者向けでしょう。多分。
1度、3度、5度の3音を重ねた「トライアド(Triad)」というのが基本。これに6度を加えて「シックスス(6th)」にしたり、7度を加えて「セブンス(7th)」にしたり、といったバリエーションがあり、さらに、コードを構成する要素の音階を半音下にずらして「マイナー(minor)」にしたり、といった変化をつけたりする(らしい)。
詳しいことは、このあたりを参考に。
何が何だかサッパリだッ!というときは、もうトライアドだけ覚えておいて、それにもう1つ音を重ねてみたり、どれかひとつ半音ずらしてみたりして、不協和音にならなければ正解だと思えば良いんじゃないかな…。(DTMならそれができる!)
その場合に以下のポイントをおさえておけば大体OK。
曲のテンポ(進行の速さ)を曲の途中で変えること。曲に変化をつける手法のひとつだけど、これは素人は下手にやらない方がいいかもしれない。(曲が空中分解する)
曲の進め方。クラシックとかよくわからないけど、最近のPOPSはこんな構成が多い。
ただ、必ずこういう構成というわけじゃなく、イントロがいきなりサビというのもよくある。あと、上記の 1、2、5 というパターンで終わっていたり(ショート)、2番や間奏がないパターンというのも多々ある。いわゆるフルバージョンの王道的なパターンが上記。
4/4拍子であれば、4分音符4つ分が1小節となり、それを組み合わせていくというのが基本。MIDIに変わって最近のDTMの主流となりつつあるループ音源の組み立てでも、それに使われるループは1小節、或いは2小節が固まったブロックであることが多い。
この構成で、シロウト的におさえておきたいポイントは以下。